高校生と、小麦を収穫!
パン教室unは「地粉パン教室」をうたっていますが、「地粉」とは、地域で栽培・製粉された小麦のこと。現在、小麦の国内消費量の2割ほどが国産のもので、日常的に手に入る小麦は外国産がほとんどです。それも、コロナによる輸出規制のため、最近は入手が難しくなってきました。
よりいっそう、手が届く範囲で農産物が栽培され手に入ること(食べられる)は、何ものにも代え難いものになると痛感しています。
社会人講師として勤めている農業高校(城西高校神山校/徳島県神山町)では、昨年から耕作放棄地を借り受け、小麦を栽培しています。小麦は、75年以上神山町内の農家さんが種をつないできた在来品種で、通称「神山小麦」。地域の種をつないでいくシードバンクの役割を地域で唯一の農業高校が担っていく取り組みの第一歩でもあります。昨年からの高校生の取り組みは12分の映像にまとめられていますので、こちらをぜひご覧ください!
新コロナウィルスによる緊急事態宣言が出され、高校は3月から2ヶ月半ほどほぼ休校状態になりました。
昔は水田として利用されていたこの土地は、畑の横に水路が通っており、田植えが始まる5月頭には地域の用水路が開きます。長らく掃除ができていなかった水路周辺から水が溢れ出し、畑が水浸しに…そんな危機にも遭遇しました。もちろん、生徒たちは小麦の様子を見にくることもできず(町外から通ってくる生徒が大多数)、やむを得ずLINEのオープンチャットというシステムを使って小麦の成長の様子を動画配信し、目の前で起こっている水問題を生徒たちへの課題として投げかけていました。
生徒たちからは的確な回答が。
「今私たちが育てている場所は昔は田んぼで、水をひいていたみたいです。なので、そのように水が溢れ出て水びたしになると思いました」「解決方法は、上で流れている水を止めて違うところに流す」「小麦は乾燥した場所に適していて、畑に水が入ってきて湿害にあってしまっている」「水を抜く場所を作る、畝を高くする、排水を良くする」
一つひとつ、解決していくしかないことも、ここでの学びです。次年度は、こうならないために事前の掃除や整備が大事、ということも。さらに、自分たちで試行錯誤するプロセスが自分たちの身になる、ということを実感しています。
そんな経緯もあったので、水にも負けず、獣害にも負けず、無事に収穫できることがまずは第一のミッションでした。感無量。
今年の冬にまく時期作のために、新1年生もまた収穫(種取り)をしました。
ここからさらに乾燥させて、製粉へ。
高校で小麦を栽培するという初の試みは、近くにフードハブ・プロジェクトの農業チームがいて、栽培についていつでも相談できる関係性ができているのはとても心強いです。これからパンを作るとしたら、パン職人に教わることもできる…!!
この小麦をどう使うかは生徒たちに委ねられています…!楽しみ。
樋口 明日香