パンの授業 #10 ピンチは突然やってくる(後編)
ピンチのその後。(反省録)
前回の記事(こちら)では、「本当にあった冷や汗(あぶら汗)が出る話」の前編を書きました。読んでくれた友人ら(パン先生仲間を含む)から、「胃が痛くなった」とか「こわくなった」とか「変にドキドキした」とかいう感想をもらいました。
(ご、ごめんなさい。。。)
前編の内容をざざっと書くと…
準備していた生地が、全くふくらまない。可能性として考えられる①温度不足、②酵母の入れ忘れを挽回しようと、温度をあげ、酵母を後入れしてみる。
それでも生地はビクともしない。
時間はどんどん過ぎていく。
というところで終了していました。後編では、その後パンの授業はどう進んでいったか、ということを記します。
順序をかえて、生地作り。
少しでも生地が反応してくれるのを期待しながら先に「生地づくり」をし、材料説明をし、米粉のルウも一緒に作り、やるべき内容を先に全部やってしまいました。
見切り発車
目一杯の時間をかけて待ちましたが、この生地は膨らんでくれませんでした。
だから、「膨らんでいること」を前提に、その先へ進めることにしました。(←実際にはありえません。)
どう判断すれば良かったのか…今もこの記事を書きながら悶々としてしまいますが。
奥にぼやけて見えるフォカッチャの生地、ぺったんこ。。。
これまでフォカッチャは一番多く焼いてきたパンなので、オーブンに入れて焼いたらどんな焼き上がりになるのかはなんとなくイメージできました。(おいしいパンにならないかも…)
祈るようにオーブンへ!
じゃじゃん!
焼きあがった生地は、やはり、食べていただきたいフォカッチャとはかけ離れていました。
いよいよ、崖っぷち。。。
わたしの顔にはおでこから頬にかけて縦線が入り、青い色が顔の周りを覆っているような、そんな心理状態です。
この時、
この日作った生地(わたしのデモ生地)が膨らむ気満々で少し大きくなっていました。
ベストな一次発酵ではないけれど、最初に焼けた生地よりは良い状態。
この生地でやってみよう!(最後の望み)と、残りのトマトやオリーブを乗せて、いざオーブンへ!
そして、焼き上がり。
最初に焼いたものよりは、地粉の良さや、フォカッチャらしいふわっと感がUPする出来上がりでした。
フォカッチャがダメなら、他で挽回したい…
試食にお出ししたものは、丁寧に作られている生産者さんから仕入れたもの、昔ながらの製法で作られた調味料を使用し、白崎茶会のレシピから紹介させていただきました。
米粉のホワイトルウ(混ぜるだけ)を作っておけば、手のかかりそうな「手作りシチュー」だって、あっという間に作れます。
以下、参加者のお2人の感想より
「このシチューなら食べられる(実は市販のルウが苦手でシチューは避けていた)」
「味がちゃんとついていておいしい」
ホワイトルウは一緒に作ったので、それぞれお持ち帰りいただきました。ご自宅ですぐに作っていただきたい一品です。
ほろ苦デザート
名前通り、苦々しい時間でした。
みなさんが帰られたあとコーヒーゼリーを食べながら「一人反省会」実施(毎度ルーティーンになっています)。
ほろ苦さがそのままダイレクトに届いてくるし、もう現実が苦いので、いつもより多めに練乳シロップをかけて、ちょい甘めでいただきました。
実際に目にしていただけなかった「1次発酵」「2次発酵」それぞれの様子を写真付きメールで補足説明させていただきましたが、やはり、せっかく来ていただくからにはちゃんと目の前で伝えるべきこと。
本当に、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
満足できる「授業」に向けて…
反省しかなかった今回のパンの授業ですが、うれしいことに、参加された方からご自宅での復習レポも届きました。
(抜粋)見た目に反して焼き上がりは外カリッと中ふわっと(フワフワではないですが)を感じる事ができました!嬉しかったです。
子どもも焼き上がりの時だけ美味しいと言って食べてくれました!野菜嫌いなので何ものせないオリーブオイルと塩だけが逆に良かったみたいです。
また一から自分で生地を作って試したいと思います。シチューもまだですが作ってみます。楽しい時間をありがとうございました。
参加してくださる方あっての授業。そして、双方向のやりとりがあって成立する授業。あたたかい参加者のみなさまのおかげで、わたしは失敗の中にいてもどうにか最後までやりきる気持ちが持てました。
お2人の方々、ほんとうにありがとうございました。
参加してくださる方々に満足した時間を過ごしていただけるよう、日々の食事はもとより、パンも、パンの授業にかかわるいろいろも、ますます精進していきたいと思います。
樋口 明日香