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2020-05-10

7日間ブックカバーチャレンジ⑥

6/7日目に選ぶ本は、「ひとりひとりの味

平松洋子さんの「ひとりひとり」と食べものへのあたたかな眼差しが詰まっていて、気持ちががほぐれていくのを感じながら読んだ。そう、ごはんは自由。

わたしは「持ち味」という言葉が気に入っている。

その言葉を使うきっかけをつくってくれた人が、かつて4年間一緒に仕事をした臨床心理士のT先生。子どもたちや先生方の「持ち味」に気づかせてくれる人だった。いつもバッチリメイクとゆる巻き髪とピシッとキメてるコンサバスタイル(もちろんハイヒール)で、学校現場では「先生じゃない」大人だった。仕事に対する完璧な姿勢と、ちょっと不良じみた口調や態度にも好感が持てて(超ロック!)、Tさんが来る日は職員室では話せない相談にもたくさん乗ってもらった。そういう、”異国の味”を醸し出せる人が職場にいてくれるって安心感だなーと、今思い出してしみじみ…。

教育相談コーディネーターという分掌を背負ったわたしは、当時は少ない経験と勘と感情だけを頼りにバタバタと動くことしかできず、知識や経験の足りなさを痛感するしかなかった。冷静な見立てによって子どもにとっての最適な支援を探ること、そこから保護者に寄り添い、環境を整えていくということ。一人ひとりが違うことはもちろん、子どもの周辺環境も千差万別。やはり、”そこにいる人たち”から支援を考えていくほかないのだと思わされた。福祉や医療など外部の専門機関と連携し、専門家の見立てを校内の教員と共有しながら多角的な視点で子どもを見ていくことの大切さも、一緒に検討を重ねた多くのケースから学んだ。彼女から学んだ多くのことが、今も生き続けている。

多くの食材の味は、育つ環境に左右され、料理する人の腕によって生かされる。人間の「持ち味」も然り。生かすなんて言い切るのは畏れ多い。せめて、素材の良さを邪魔しない存在でありたいなーと思っている今日この頃。

次へのバトンはつなげず、気まぐれに、楽しみながら投稿することにします。
つづく。

un 樋口 明日香

パンの授業(現在お休み中/再開時期は未定)

再開の際にはこちらのブログでご案内いたします。

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