7日間ブックカバーチャレンジ④
4/7日目は、「BENTO おべんとう展ー食べる・集う・つながるデザインー」
2018/7/21~10/8 東京都美術館で開催されていたおべんとう展の図録。
展示の時に持ち帰れる「いただきます編」と、会期中のワークショップの様子も収めた「ごちそうさま編」の2冊構成。足を運んでざっと一周見て回っている時に、森内康博さんのインスタレーションに釘付けになってしまった。
他者と自分との違いを、理解するための弁当づくり
中学生が親の手を借りずにお弁当を作る様子を生徒自身がドキュメンタリー映像にするワークショップを行い、プロジェクト全体を映像作品とした<Making of BENTO>というインスタレーション。その様子や森内さんへのインタビューがこの図録に収録されている。少し紹介させていただく。
Q 今回の作品ができるまでの経緯をお話しいただければ。
2001年に香川県の校長先生が始めた「弁当の日」。シンプルな取り組みを受け入れない場所も多く、隠れた課題が見えてきました。家庭環境が様々な子どもが集まる学校現場では、全員が同じものを食べる給食の方が、バラバラの弁当より公平と考える人が多い。我々が普段映像制作の仕事で、学校で子どもにカメラを向ける時、子どもの肖像権やプライバシーを過度に心配しなければならない不便さと重なるものを感じました。そこで今回は「弁当の日」に学校の中にカメラを持ち込むようなプロジェクトをしようと。
Q <Making of BENTO>の作品を作ることの社会的意義について教えてください。実際にワークショップをして感じられたことも含めて。
社会的な意義としては2つあるかもしれない。ひとつは、視点を変えることの必要性を伝えられること。自分が弁当を作って終わりではなく、他人の弁当をみるという別の視点を与えることで、他人との違いを理解し、ひるがえって自分を理解することができると思っています。2つ目は、子どもが自ら行動を起こすきっかけを作ること。与えられることが当たり前になると、日々の食事も、親に作ってもらったり、お金を払うなどしてサービスを受けることを当然と思ってしまう。能動的に生きる人間として、まずは弁当くらい作ってみようよと。一度動くと何かが生まれるという喜びを感覚的にわかってくれると、大人になってもやり続けられると思います。何かアクションを起こす時、すごく面倒臭いコミュニケーションをとらなきゃいけないし、他者と摩擦が起きてしまうかもしれない。でも、それを乗り越えたら、もっと人間らしい生き方ができると思うんですよ
BENTO おべんとう編-食べる・集う・つながるデザイン いただきます編
中学生たちの制作過程を撮ったムービーもめちゃよかった。映像×お弁当の組み合わせで、新たな社会的意義の可視化がとても新鮮に映った印象深いインスタレーション。
次へのバトンはつなげず、SNSでつながっていない人たちの顔もたくさん思い浮かべながら、気まぐれに、楽しみながら投稿することにします。
つづく。
un 樋口 明日香