2019-03-11
3.11 日常と非日常はひと続き
プレハブの教室で3年生の子どもたちとワールドカップの応援歌を演奏している時だった。
大きく波打つ床、横揺れして軋む部屋。みるみる不安が募ってくる子どもたちの表情に、自分の無力さを感じた時間(数秒間)だった。目の前にいる子どもたちの不安を1mmでも取り除こうと柱にしがみつき不安だらけの自分を奮い立たせ必死にそこにいた。
その後の日々は絶望感しかなかった。計画停電で信号機の明かりさえ消えた町は、これまで味わったことのない世界。被災地の人々のことを思うとそんな生活でも生きていることが贅沢に思えて、あの時は言葉を発することも躊躇われた。
売り場の棚から真っ先にインスタント食品が消え、「粉」は残る。
粉と水を混ぜればすいとん。米と同量の水を入れて炊けばごはん。あるものをいかにおいしく分かち合えるものにするか、は究極の料理。そのスキルと気概は急に出てくるものではない。
日々ごはんを炊き、粉に触れているわたしたちのスキルは、安心感にかわる。
白崎裕子さんのブログ「調理係の日報」(2011年)
「茶会女子のみなさま。そしてこのブログをご覧のみなさまへ」のタイトルで震災直後に発信されたこの文字に、どれだけ励まされたかわからない。非常時のメッセージだけれど、日常のその先の話でもある。ここで紹介させてもらいますね。
② 鍋でごはんを炊く
③ 玄米を炊く
④ 手に入る材料を見つけ、おいしいものを素早く作る(優先順位を間違えない)
日々の料理は明日へ続いているのだと思う。毎日ちょっと手間をかけて自分でやってみることが、希望になる。
今日は、ごはんを炊くようにパンを焼きます。
un 樋口 明日香
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