学校で育てた夏野菜で小学校2年生がつくる、ピザランチ!(後編)
今回の経緯はこちらに。
「生地をつくる」(前編)からの続きです。
朝、先生と子どもたちで生地の膨らみを見てもらい、授業の前にわたしが生地の丸め直しをしておきました。
この小学校は、担任の先生以外に調理実習に「校務員」さん(←他の学校では「用務員」さんの立場)が入ってくれることになっており、今回も2日間一緒に入ってくださいました。
*あとで校長先生から伺ったお話。「『先生』と違う立場で子どもたちにかかわる大人がいるといい。」と調理実習(5・6年生)には教諭+校務員さんの2人体制で子どもたちの活動を見ているそう。
担任の先生と、校務員さん、そしてわたし。途中、もう一人の先生もフォローに入ってくださいました。学校のフォロー体制にも、感謝しかありません。
9時に学校に伺うと、すでに校務員さんが準備をしてくださっていました。
・テーブルに飾るお花(校庭に咲いていたもの)
・ランチョンマット(印刷してくださったもの)
前日、ちらっとお花やランチョンマットの確認をしていたのですが…学校にあるもので素敵に準備をしてくださっていたことに朝から感激してやる気倍増でした。ほんとうに。
写真、撮り損ねましたが、担任のばんどう先生が準備してくださった「黒板」もとっても素敵でした!
タイムスケジュール
前日に先生方と打ち合わせをし、当初の計画から変更して
・パンチーム
・サラダチーム
・スープチーム
はじめから3つのチームにわかれて進めることになりました。(結果的には子どもたちの作業分量もちょうどよかった!)
みんなでランチを作るんだ!
みんなが頑張って作らないと、今日のお昼ごはんはないんだよ、というけっこうリアルなプレッシャーのなか、パンの授業(2日目)が始まりました。
途中、校長先生が見に来てくださり、子どもたちにお話をしてくださいました。
(T:校長先生 S:子どもたち)
T「みんな、楽しいか?」「どんな気持ち?」
S「楽しい〜」
T「今の楽しい気持ちを1〜10の数字でいうと、どの数字?」
S「20」「もっと大きい」
T「一番大きい数字が10だよ」
1〜10までの数字で挙手していくと全員が8以上。そして10に手を挙げた子どもが8割くらいいました。
T「先生の名前、知ってる?」
S「ひぐちあすか先生〜」
T「じゃぁ、ひぐち先生は、みんなに何を伝えるために来てくれたのですか」
S「パンづくり!」「ピザの作り方」
T「ちがうよ」「みんなはパンづくりをして、どんな気持ちになる?」
S「楽しい」「うれしい」「とっても楽しみ」「しあわせなきもち」…
T「ひぐち先生は、みんなに、今みんなが言ったような気持ちを伝えに来てくれたんだよ」
少し前に幼稚園児たちもピザづくりをしたそうで、その様子もお話くださいました。
校長先生からのお話を聞きながら、目の前にいる子どもたちととびきり楽しくてとびきりおいしい時間を過ごそう、と誓いました。
パンチーム、ピザ生地をつくる。
子どもたちとつくるピザ生地は、道具は使わず「手」を使います。地粉生地をいためないように「おす(圧をかける)」という動作のみで形を作っていきます。
最初は、手の「ひら」を使って。
最初はゆっくりと、慎重に始めた子どもたちも2枚目、3枚目になるにつれて勢いが増してきます。
生地がオーブンシートの大きさまで広がったら、次は「指」の出番。
高さを作りたいので、生地の縁を指でおしていきます。
「粘土みたい〜」の言葉どおり、動きは粘土遊びそのもの。そして「手」は最高の調理器具の役目を果たすのです。
全員分のピザ生地が出来上がったタイミングで、サラダチーム、スープチームもそれぞれ完成。
好きな具をのせてピザにする!
各自、パンチームが作ってくれたピザ生地の上に、好きなように具材をのせていきました(この様子、ほとんど見られなかったー)。
パプリカ、ミニトマトのほかに、野菜を販売して得たお金を持ってみんなでお店に行き、ピザソース、チーズ、ベーコンなどを買ってきていました。自分たちで選んで準備するっていいなぁ。
(そしてこの間、わたしは直焼きマフィンを焼いていました)
様子をみにきてくれた校長先生に飛びつきながら
「ぼくね、心臓が口から飛び出しそうなくらい、楽しみなんだ」
と言った男児の表情。
わたしが焼いているのをじーっと眺める子どもたちの表情。
焼けてくるピザの香りに鼻をクンクンさせる様子。
そんな、子どもたちの言葉や表情、全身から放たれる表現を見れただけで、わたしは胸いっぱいでした。
配膳
ランチョンマットを敷き、お箸とフォークを準備し、自分たちで作ったサラダを配り、スープを注ぎ、焼きたてのピザをお皿にのせていく。
予定通りの12:10に揃って「いただきます」(これけっこうすごい)!
さすが、みんな。そして先生方の万全のサポート体制のおかげです。
「おいしい〜」の声が聞こえてきてうれしかったなぁ〜。いや、雰囲気が「おいしく」させているというか。自分たちで生地づくりから食べるところまで、スープもサラダも作れたね。野菜を育てるところから合わせると、ほんとうに長期間にわたるランチづくり。すごい!
わたしはピザと直焼きマフィン1個でおなかいっぱいになったのですが、子どもたちはけっこう残さず食べていたことにびっくり。おかわりしたい、と言っている子が3人くらいいたかもしれない。
食べ終わったあと、子どもたち一人ひとりが声をかけてくれました。
言葉につかえながら、なんども言い直しながら、ゆっくり時間をかけて「ピザづくり、楽しかったよ。また来てね」と伝えてくれた男の子。それを黙って見守る友だちや先生。
とてもあたたかい気持ちになりました。
しあわせな気持ちをたっぷり受け取って、「またしばらくがんばれそう」と学校を後にしました。
お手紙
後日、ポストに子どもたちからのお手紙が届きました。名前と顔が一致しないので、どの子かなーって想像しながら読んでいます。
ついつい大人目線になりがちな毎日。子どもたちの中に入って過ごしていると、その純粋な感覚や感性に触れ、「思う存分やってみてー!」と全力で応援したい気持ちになります。
やっぱり好きなんだな、子どもたちと活動すること。
2年生担任のばんどう先生、2日間サポートしてくださったすみ先生、校長先生をはじめとする先生方、ありがとうございました。
un 樋口 明日香