これからの食育、どうしてゆこう
これからの食育どうしよう…と考え始めて数ヶ月。おいしい果樹園でしげさんから話を伺った。
果樹は実がなるまでに、あるいは土に合っているかどうかわかるまでに3年はかかる。やりたい!と思った時にすぐに始められるように「レールは敷いておくから」と話しながら、これまでコツコツと植えてこられた果樹を見せてもらう。
果樹園や畑で、子どもたちが遊びながら、学びながら成長してゆく姿。実った果実を加工したり販売したりできる社会とつながった食農教育(カリキュラム)。木々の剪定や栽培、加工や販売に関しては地域の人や専門家に関わってもらうことで私たち自身もスキル獲得の機会とし、結果として自分の身辺や地域をより良くしていける人材の育成にもつながってゆく場所。
そんな何層にもふくらむ活動が展開できる可能性について、思いを巡らせる。
20年以上前から、子どもたちへ農の楽しさや米のおいしさを伝え続けてこられたしげさんだからこそ、それをどうにかして次の世代へ渡してゆきたいのだと、計り知れない熱い想いを受け止めつつ、さて自分はどうしてゆくのか、の今。
Pie Ranch (カリフォルニア)
2017年に Food Hub Project の同僚らとカリフォルニアの視察旅行に行った。その際、「食育」について近いイメージを持てたのが「Pie Ranch」だった。Pie Ranch は、農業を基盤に近隣の学校と連携し、生徒を受け入れるキャンププラグラムや一緒に料理をして食べる教育活動を行っている場所。
何より、畑の景色がとてもきれいで、広大な敷地に植えられている野菜や果物、花がおいしく美しかった。
オーナーの家族とランチをいただきながら、フードハブの学校連携の話や食について、わたし自身が教員を辞めて今に至る経緯などを話すことができた。規模は違えど、ここPie Ranchとフードハブの進めようとしている活動、考え方がすごく似ていて驚いたのと、このような取り組みが行われている場所があることにすごくパワーをもらった。
オーナーの Jered さんは
「食を起点におくと、その周りにあるいろいろなものが変わっていく」
という考えがあって
「まずは自分がやってみる」
ということを大切にされているそう。
また、子どもたちには、ただ食べるだけでなく、そのプロセスを見て感じる経験が必要だとの思いから、ヤギや鶏も飼って一緒に暮らしていた。
10年以上やって、なにか周辺の変化は感じられますか?と尋ねたところ、「大きな変化を体感するまでにはなっていないけれど、それはほんとうに積み重ねで、例えば、先生方の反応が変わってきたな、と思えるようなことがあればとてもうれしい」と。
食を起点に
「まずは自分がやってみる」という考え方や「積み重ねてゆく」ことの大切さを共有できたことが、その後の神山町の食育を進める原動力にもなったことを思い出しながら、今また勇気付けられている。
大きな変化を求めてしまいがちで、それが見えないと進めていくことすら不安になるけれど、ごくごく小さな変化、さらには積み重ねて来られた成果を、見てゆかねばならない(と、自分を励ます…)。
樋口 明日香