育てる楽しみ、つくる楽しさ
白崎茶会で教わった日本人らしい食卓風景の数々。
新鮮な旬の野菜を美味しく調理し、またある時は保存食に加工して余すところなくいただく。知れば知るほど、これまで祖先が築き上げてきた食文化に、感謝と尊敬の念を抱かずにはいられない。
現在、仕事を通して地域の食文化に触れる機会はとても多く、身近なおじいちゃん、おばあちゃんたちが暮らしている中に当たり前の「おいしい」がたくさん転がっていることに気づかされます。都会にはない、田舎の良さ。
たとえば、柿。
熟れた柿は苦手でしたが「これ食べてみー。おいしいんよ。」と隣のおばあちゃんに手渡され、その場で切ってみる。ゼリーのように、ぷるんとしていてスッキリ甘い。(こんなにおいしかったんだ…)
たとえば、おこわ。
「しと(湿打)」という言葉、白崎茶会のおこわクラスで初めて聞いて以来日常では聞くことのない言葉ですが、おばあちゃんたちは使います。「分量や聞かれたってーわからんわ。ほんなもん、てきとうじゃ。」というおばあちゃんが、カッコよすぎてキラキラして見えます。栗を剥くのはおじいちゃんの仕事。二人であーだこーだ話しながら作業している姿もすごく微笑ましくって。
たとえば、お寿司。
「お酢と違うてゆう(ゆず)を入れとうけんな。」と言われて手渡されたお寿司が絶妙な味付けでそれはそれはおいしかったこと。→柚子編はこちら。
あれから、いただいた柚子の皮をピールにしました。
そして、旬の分かりやすさも田舎暮らしの魅力の一つ。
きゅうり、なす、トマト、すだち、柿、柚子、次から次へと旬の食材が届く。しかも、大量に。それを、余らせないようにおいしく加工していくのがおばちゃんたち。
田舎の良さ、というよりは、そこに住む人たちの食生活の知恵?工夫?
とにかく、素敵ー!なのです。
そうそう。スーパーマーケットも、食文化を表す一つのバロメーター。
小さいスーパーに、こんなの売っているんです。「ひしお」なんて聞いたこともなかったのですが、「毎日混ぜて、育てる楽しみ」って言葉にキュンとして、パケ買いしてしまいました。
そして、完成。
育てる楽しみ、なるほど!!!
横浜に住んでいるときにはあんなに店が乱立して人が住んでいるのにもかかわらず、「漬物石」とか「漬物袋」とか、歩き回って探しても見つけられませんでした。(漬物つくる人いないのねー)
徳島では、梅干しの季節になると近くのホームセンターやスーパー、小売店に当たり前のように瓶やざるが並んでいるし、漬物袋も1枚単位で購入できる。
なるほど、お店を見れば地域の食文化がわかるんだなぁと。
自分ができるところから、少しずつ。
おばあちゃんになって、自分の手でおいしいおむすび握れる人になっていたい。おむすびがおいしく握れる手になっていれば、その手でこねるパンも、きっと今よりおいしいはず。
そんなことを頭の隅におきながら、今は自分のできることをせっせとやっていくのです。
さて。今日もぬか漬け触りますかー。