「みんなの学校」から、考える。
大阪府にある大空小学校の初代校長 木村泰子先生が徳島に来られるということで、講演を聞きに行った。
木村さんの熱量あるトークにぐいぐい惹き込まれた。
まるまる2時間、話が尽きない。
大事なのは、聞いて「よかったー」という言葉で終わりにするのではなく、自分がいる今の場所で何ができるか?と考えて実行していくことだろう。
特に心に響いたことをメモがてら残しておきたい。
子どもを生かすも殺すも、空気
「不登校」って、失礼な言葉。学校に行けない子が悪い子みたいなイメージを植えつけてしまう。「不登校」っていう言葉を簡単に使わない大人を増やさなあかん。どんな特性を持っていても、どんなに暴言吐いても、相手は子ども。
木村泰子さん
さよならメッセージ(いじめアンケートは廃止)
校長には責任がある。
すべての子どもの学ぶ権利を保障する、土台をつくること。誰ひとり死なせへんこと。
木村泰子さん
大空小学校で創立以来続けている取り組みの一つに「さよならメッセージ」というのがある。帰る直前に子どもたちが日付、名前、10行分のメッセージを書いて帰るというもの。1日も欠かさない。
担任、職員は放課後子どもたちの書いた「さよならメッセージ」をすべて読む。赤ペンは入れない。子どもの事実がすべてであって、それだけでかけがえのないものだから。
「いじめられていますか」→「はい」「いいえ」
「いじめたことがありますか」→「はい」「いいえ」
形式だけ(半ば義務)になってしまったこれらのアンケートを学期に一度実施して、子どもたちの本音は出るだろうか。
これは、おとながちゃんと考えなければならない問題だと思う。
子どもたちがこの10行を本音で書けるかどうか。
学校は、地域のキーステーション
すべてのおとなの責任は、すべての子どもの命を守ること。
木村泰子さん
学校だけでひとりの子どもの命を守れる日本社会じゃない 。
地域に生きているすべての子どもが安心して学べる場所にすることが、パブリックの最上の目的。
自分たちでできないことは地域の人たちの手を借りる。
学校内の、断捨離
号令、指示、命令、なし。
卒業式の呼びかけ、なし。
授業参観、なし。
いじめアンケート、なし。
木村泰子さん
最後の最後まで横におってくれる
子どもたちは正しさや正解をすでに知っている。知っていても、できないことがたくさんある。
木村泰子さん
おとなは子どもに正解を伝えるためにいるのではなく、子どもたちが自分で納得するために、通訳していく役目。
大空小学校に在籍する児童らのなかには手厚い支援の必要な児童も多い。他機関との連携も密だ。そんな状況でも、なぜ子どもたちが子どもたちらしくあれたのか、というヒントが、木村先生の言葉にはたくさん詰まっていた。
教師の専門性と、人間性。どちらも大事。そして先生方が専門性を育んでいくきっかけをつくるのは、職員室の日々の雑談力。校長みずからのコーディネート力が凄まじい。
子ども自らが、話せるおとなを選ぶ。子どもにとって、そんな存在がひとりでもいるといい。
木村泰子さん
教員、そして地域の方々のチーム力。
そのなかで、わたしには何ができるか。
校長が退いても形骸化することなく学校に残っている「大空小の文化」は、かたち(手段)だけでなく、徹底して職員間でベース(目的)を共有し続けたからに他ならない。さすが。