2019-12-13
清水眞砂子さんにお会いして
子どもの本屋さん メリーゴーランド京都さん主催のイベント「清水眞砂子さんのおはなし会」に参加してきた。著書「あいまいさを引きうけて」を読んで共感をおぼえる箇所があまりにも多く、これは一度お会いしたいと強く願っていたところ。こんなにはやくその機会が訪れるとは思っておらず…とてもうれしい。
清水さんのお話を伺っていると、普段のあまりにも過剰な反応や言葉、刺激の多さがわたしたちの「考える」という部分を邪魔しているんじゃないかと思えてくる。「なんでもすぐにこたえが出てくると思っている」人たちは多い。でもそういう社会を、人を育ててきたのもわたしたち。学校教育で行われてきた「詩」や「読書感想文」「読書運動」なんかを例にあげて、画一的な指導がもたらす弊害にも触れられていた。
「意志して無名を選びとる」
「ゲド戦記」の作者ル・グウィンが物語を通して伝えたかったことではないかと清水さんが語った言葉。
連れ帰った『そして、ねずみ女房は星を見た』は今は絶版となり手に入らなくなった本。今は中学校の先生をされているらしい編集者のエピソードもお聞きできた。
「先生」という仕事は、先生自身が何ができるかということよりも、目の前にいる子どもにどう向き合うかなのだと思わされた。こたえがない毎日を、どうやって子どもたちと生き延びるのか。言葉でかかれていないことや見えていないことをどうよみとるのか。
お会いできて、心のなかであたためていた言葉が動き出した感じがある。想像することは簡単ではないけれど、目の前の人やモノに向き合うということは、そういうことなんだろうな。まだまだやれることはたくさんあるけれど、やれることの方向がこれまでとは変わったかもしれない。清水さんのお話を伺って、それでいいんだと思えた。
樋口 明日香
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