講師紹介
徳島県の地粉パン教室「unアン」です。
講師:樋口 明日香(ひぐち あすか)
徳島で生まれ育ち大学時代までを過ごしたあと、神奈川県で小学校の教員として勤務。学校現場で働きながら葉山にある「白崎茶会」に通い始め、食に興味を持ち始めました。
2016年 白崎茶会認定の「パン先生」になったことをきっかけに教員を辞め、地元徳島に帰ってきました。
unについて
un(アン)=フランス語で「1」という意味。あとから知ったことですが「un」はトルコ語で「粉」を意味する言葉だそう。
「1」からはじめて、「2」や「3」につながっていけばいいなと思っています。
ごはんのように、安心で、ほっとする。ニッポンのパンを焼く。
日本人は、古くは弥生時代から(縄文時代から、という説も出てきているそうです)稲作を中心に、米を食べてきた農耕民族です。鎌倉時代あたりからは二毛作として夏季は稲を育て、冬季は小麦(地粉)を育ててきました。
「地粉」とは、その土地で栽培・収穫され、製粉までされた粉のこと。米がなければ小麦で麺(うどん)を打ち、おやつには団子や饅頭を作って食べてきたように、身近にある穀物をその土地の特産物を使い、気候に合わせて上手に加工していたから、今もそれぞれの地域に伝わる粉ものがたくさんあるのだと考えられます。「地粉」が「うどん粉」と呼ばれるのはその名残。今でも各地の産直市などでは地元の農家さんが作って製粉した粉を見かけることができますし「うどん粉」という呼び名も使われている地域がたくさんあると思います。
現在、国内で消費される小麦の大部分は外国からの輸入に頼っているため、国内で生産される国産小麦は全体の2割ほどです。国産小麦の良いところは、ポストハーベストの問題がないことはもちろん、その土地でできた日本人の体質にあっている粉であるところ。
現在、この「ごはんのように」「安心で、ほっとする小麦」が身近な場所で手に入りにくい状況です。日本の良い食材を残していくためにも、パン教室を通してこの「地粉」の存在を知ってもらい、ファンを増やしていきたいと考えています。
ごはんのように食べたいから、地粉。ごはんのように、馴染みのあるパン。
「馴染みのあるパン」って、どんなパンでしょう。
わたしのパンへのイメージをガラッと変えてしまったのが「地粉」で作るにっぽんのパンです。
自分の手でパンを焼き、おやつを作るうちに、わたしは「地粉」が大好きになりました。風味が感じられて、噛めば噛むほどに旨味を感じるパン。地粉以外のパンが物足りなく感じるほどです。にっぽんの粉で作るパンなので、意外や意外、和風の惣菜との相性も抜群です。ごはんには味噌汁!のように、地粉パンには日本の調味料で作ったスープやおかず!そんな、慣れ親しんだ食材との相性の良さも、地粉パンを美味しく食べ続けられるポイントです。
パンづくりを日常に。ごはんを炊くように、気軽に焼けるパン。
難しいパンづくりではなく、ご飯のような気軽さでパンづくりができれば、と考えています。
炊きたてのごはんのおいしさは、日本人なら誰しもご存知。
でも、焼きたてのパンのおいしさを家庭で味わえる経験って、なかなかできませんよね。
だからこそ、ぜひ、体験していただきたいのです。
日常の「おいしい」一コマを
一人でも多くの方と共有したい、
一つでも多くの家庭で味わってほしい、
パンづくりを通して「手をつかうこと」の楽しさを実感してもらいたい、
そして、なるべくなら「素材」に着目して食べものを選ぶ人が増えてほしい、
そう思いながら、わたしは今日も「かんたんでおいしい食卓」づくりに励んでいます。
unでご紹介するパン作りの材料は、地粉と酵母、水、好きなオイル、海塩だけ。
酵母はドライイーストタイプのものを使うので、管理の手間がなく、いつでもどこでもパン焼きにチャレンジできます。道具はポリ袋とはかりがあれば作れます。この手軽さも大事な要素。
まずは家にあるもので手軽にはじめてみましょう。
食生活の変化
unでお伝えするパンづくりの方法は、神奈川県葉山にあるオーガニック料理教室「白崎茶会」のレシピです。
白崎茶会に出会ったのが2010年ですが、遡ることさらに3年。
自炊がなかなかできない忙しい日々の中、同僚がわたしに1食分ずつ炊いてきてくれたのが玄米でした。プチプチしていて美味しくて、亜麻仁油をかけて食べ続けて数ヶ月。同僚に紹介された書物を読んだり、「玄米」中心の食生活を実践し始めた頃から体重が7kgも落ちてしまいました。夢のような体重ではありましたが、小学校で朝から晩までパワフルな子どもたちと接している当時のわたしはエネルギー不足でふらふら。
「いい」と言われる玄米を食べているのになぜ「元気」じゃないのか?
一体、何を食べれば健康に、元気に毎日が送れるのか?
そんな疑問を解決したくて、料理そのものよりも、使う素材や選び方に関心を持ち始めました。
白崎茶会との出会い
当時、肉以外の料理を教えてくれるところ(肉、苦手)で、できればからだに負担のない材料を選んで使っている料理教室をネットで探し、目に留まったのが白崎茶会でした。2010年のことです。
忘れもしないスタートクラス。
メニューは有機天然酵母の地粉のピザと、モチレラチーズ。
料理だけでなく、白崎先生のトークにも惹きこまれ、すぐに次のレッスンを申し込んでいました。
それからチャンスがあれば「白崎茶会」に通い始め、わたしの食生活、考え方は少しずつ変わってきました。「食」を通して、ゆっくり、じっくり、自分自身の変化を感じられるのは、いいものです。
「安いから」「手軽だから」食べるのではなく、自分の意思を持って食材を選び、楽しく料理をするということ。白崎先生の強い信念に裏付けられたレシピは、誰もが簡単に、手間暇かけずにおいしく料理ができるようなものばかり。これを知れば、無敵!と今でも料理をするたびに感心し、「わたしって天才かも!」とうれしい勘違いができる時間(苦笑)。「おいしいのが作れた!」っていう料理の成功体験を、教室に来てくださる方と分かち合いたいと思っています。
つくる喜び、食べる楽しみ、分かち合う幸せ。
通い始めた当初は、白崎茶会で教わったレシピを復習することで精一杯でしたが、友人らを家に招いて料理のきっかけを作り、モチベーションをあげたものです。
まだまだ拙い料理の数々だけど、ascafe(自宅で開いていたごはん会)で食べて笑ってお腹いっぱいになってくれた友人たちのおかげで今があるのだと、感謝しています。
パン先生
私自身の変化のきっかけをくれた「白崎茶会」ですが、パンを自分で焼くなんて夢のまた夢だと思っていた当時(2015年春)、白崎先生に声をかけていただいたこともあって、パン先生クラスに入級。
その時、「教員を辞める」ことや「パン教室を開く」ことは、実は全く考えていませんでした。
仕事をしながらパン焼き特訓の日々。早朝や深夜・休日はひたすらパン焼きと日々のストックづくりでした。自分の大切にしたい生活と働き方の間でモヤモヤを抱き始めていた時期だったため、教員の仕事をしながらも、パン焼きに向けるエネルギーが心の支えとなっていました。
そして2015年12月 パン先生として認定されました。
パン教室を開くための場所(親戚所有の空き家)がある、という状況に運命を感じ、地元である徳島に帰ってきたのが2016年の春。
いずれはパンだけに限らず、音楽をしたいひとが集まれる場所として活用したり、小学生対象の子ども教室を開いたり…と夢は膨らむばかりです。
unの「一から始めるパン教室」
パン教室の場には、一つの思いがあります。それは、わたしが一方的に与える場ではなく、参加者がつくっていく場にしたいということ。いろんなひとがいて、それぞれの好みがあって、持ち味があって、得手不得手がある人たちの集まり(わたしも含めて!)。学び方も違って当然です。それぞれが満足のいく時間を過ごせるような時間を一緒につくりましょう。
「なんか楽しかったな」
「家でやってみたくなった」
そう思っていただけるように、わたしも心と頭を使います。
パンの教室は4名様までの少人数で行います。
少人数だからこそ、それぞれの思いや願いや得手不得手、好みに寄り添えるんじゃないか、と思っています。だから、パンの授業に参加してくださるみなさまには、どうぞ遠慮なくあれやこれやをリクエストしていただきたいです。
使用食材について
*粉:地粉(中力粉・うどん粉)
*酵母:”ゆうきぱんこうぼ”(ドライイーストタイプ)
管理の手間がいらず、作りたいときにサッと取り出して使える上、製造(培養)過程で全く薬品処理されていない安心・安全な酵母です。
「ゆうきぱんこうぼ」
ドイツBCS有機認証団体認証・JAS有機認証品:厳選された酵母を完全オーガニック栄養素で育てているドライイーストタイプの天然酵母。酵母培養の工程で一切化学薬品を使っていない安心で手軽に使えるイイトコどりの酵母です。(本物屋さん、自然館mather natureさんで購入可能)
*卵・乳製品は使用しません。
*他の食材も、安心できるもの、丁寧に作られたものを使います。
卵や乳製品にアレルギーのある方も、そうでない方も、ありとあらゆるお惣菜パンや菓子パンを楽しんで作り、食べていただけます。レシピは基本的に植物性の材料のみ(たまに良質の魚介類を使うこともあり)です。普段食べるパンを自分で作ることができたなら、食卓を囲む楽しみや喜びはうんと広がるに違いありません。
パン教室のご案内、お知らせは、こちらのblogでお伝えしていきます。(次回はいつ?とのお問い合わせもいただくのですが、お答えできずにすみません。未定ですが、開催の際にはこちらでお知らせします。)
みなさまにお会いできる日をとてもとても楽しみにしております。
un 樋口 明日香