学校教育のなかの「食育」
パン先生un@徳島です。
「食育」とは…(法律から)
食育基本法(平成17年6月17日)前文より二十一世紀における我が国の発展のためには、子どもたちが健全な心と身体を培い、未来や国際社会に向かって羽ばたくことができるようにするとともに、すべての国民が心身の健康を確保し、生涯にわたって生き生きと暮らすことができるようにすることが大切である。
子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも「食」が重要である。今、改めて、食育を、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けるとともに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育を推進することが求められている。もとより、食育はあらゆる世代の国民に必要なものであるが、子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものである。
一方、社会経済情勢がめまぐるしく変化し、日々忙しい生活を送る中で、人々は、毎日の「食」の大切さを忘れがちである。国民の食生活においては、栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加、過度の痩身志向などの問題に加え、新たな「食」の安全上の問題や、「食」の海外への依存の問題が生じており、「食」に関する情報が社会に氾濫する中で、人々は、食生活の改善の面からも、「食」の安全の確保の面からも、自ら「食」のあり方を学ぶことが求められている。また、豊かな緑と水に恵まれた自然の下で先人からはぐくまれてきた、地域の多様性と豊かな味覚や文化の香りあふれる日本の「食」が失われる危機にある。
こうした「食」をめぐる環境の変化の中で、国民の「食」に関する考え方を育て、健全な食生活を実現することが求められるとともに、都市と農山漁村の共生・対流を進め、「食」に関する消費者と生産者との信頼関係を構築して、地域社会の活性化、豊かな食文化の継承及び発展、環境と調和のとれた食料の生産及び消費の推進並びに食料自給率の向上に寄与することが期待されている。
国民一人一人が「食」について改めて意識を高め、自然の恩恵や「食」に関わる人々の様々な活動への感謝の念や理解を深めつつ、「食」に関して信頼できる情報に基づく適切な判断を行う能力を身に付けることによって、心身の健康を増進する健全な食生活を実践するために、今こそ、家庭、学校、保育所、地域等を中心に、国民運動として、食育の推進に取り組んでいくことが、我々に課せられている課題である。さらに、食育の推進に関する我が国の取組が、海外との交流等を通じて食育に関して国際的に貢献することにつながることも期待される。
ここに、食育について、基本理念を明らかにしてその方向性を示し、国、地方公共団体及び国民の食育の推進に関する取組を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。
学校でやっていくこと。
小学校に勤務していた時には、学校の外側(外部)から「食」にアプローチする方が食育がスムーズに進むんじゃないか、と思っていました。実際、教職を辞して外に出てみると、それとは逆に、学校だからこそできるんじゃないか、学校だからこそやる意味があるんじゃないか、そう思える面があることに気づきます。なぜなら、「住んでいる地域」「同年代に生まれた」という条件だけで集まっている集団は、学校の他にはないからです。学校でやることは、すべての子どもたちに行き渡るのです。
年々数が減ってきていますが、全国に約20000校もの小学校があります。
6年間という子ども時代の大部分を過ごす小学校。そこで過ごした子どもたちが、10〜20年後には、社会の一員として日本をつくっていくようになるんですよね。様々な属性の子どもたちが一同に集まるおもしろい場所です。
もう一つの特徴はほとんどの小学校が「学級担任制」のシステムによる学級(クラス)単位での活動を中心としている場所であること。
学級数のデータ(下図:表10)から、児童が属する学級(クラス)は全国に27万1,764(平成28年のデータ)。これ、データに含まれていない場所で学んでいる集団も含めると、もっと増えます。
その数だけ先生(おとな)がいて、それぞれの集団がつくられています。
わたしは教諭という立場は退きましたが、今でも子どもたちの活動や反応を想像しながらいろいろと考えることは楽しいです。
実際に授業はできないので、せめて、このBlogの場でできることをやっていこうと思っています。
❶ 学校でできる「食の授業」を考えてみる。→これならできそう。
(→ ❷ 先生方が授業でもやってみよう、と思う。)
(→ ❸ 子どもたちに伝わっていく。(毎年、伝わる子どもたちは増えていく。))
子どもたちへ
『公教育をイチから考えよう』「はじめに」から「公教育」とは、たんに公立学校で行われる教育のことではありません。私立の学校や大学も含み、国や地方自治体が公共の制度・政策として実施する教育全体を指しています。「公教育」はまた、近代法治国家の成立と密接な関係をもっています。すべての人間に平等に認められた「発達の権利」を保障すべく、国が法律に基づいて実施するものであると同時に、若い人々がやがて社会の成員として未来を築き支えるに足る力を身につけることにより、社会そのものが安定することをも目指しています。(中略)…公教育とは、元来、堅固に動かぬものではなく、現場実践の積み重ねと、現実世界の動向、そして未来への確たるヴィジョンとの間を往還しながら、常によりよいものへのダイナミックに変化し続けるはずのものだからです。
公教育の中で行われる「食育」も、いろんな地域で、様々に工夫された取り組みがされているようです。
『芦屋の給食』「はじめに」より…芦屋の自慢の一つが、「豊かな食体験は、子どもたちの味覚と心を育む教育である」をモットーに、徹底した手づくりでつくっている給食。「食べることは生きること」子どもたちは給食から心豊かに生きるヒントをたくさん学ぶことができます。食べ物は、体をつくり、心をつくり、人生をつくります。子どもたちにとって“食べること”はとても大切なことなのです。
以前HPを拝見して気になっていた学食ですが、漫画になって登場していたので読んでみました(すぐに読み切れるのが漫画のいいところ)。食事内容が素晴らしいのはもちろんですが、周りのおとなのかかわりや言葉がけが参考になります。さらにその子の成長を「食」を通してサポートするという点で、「食育」のあり方が学べます。
こちらの自由の森学園のHP(食生活部)もバシバシと思いが伝わってくるHPですので、ぜひ。
いつかこの学食に行ってみたい!
「学校だからできない」「今はできない」ではなくて、やれる方法を、やれる形で進めている実践例もたくさんあることに、大きな力をもらいます。
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樋口 明日香 Asuka Higuchi